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September 02, 2006

夢メモ2:インチキ親子。不思議な小説。

※かなり変わった雰囲気というか風景の夢でした。

推理小説家の書生のような暮らしをしている。
「小説の題材にいいと思うので、一度あってほしい」と以前連絡があった人たちが今日は来ている。

目玉がひざにも有る、という女性がそれを編集者と私に見せている。へそからなにかエイリアンのような顔が出る。カメラで撮影する関係もあり、距離を取っているのだが、それでも気味が悪い。
「宇宙人じゃないのこいつ」と編集者が小声で言う。もちろん本気で言っているようには思えないが「いずれ小説の題材にはならない」と思っていることはその口調からわかる。
「まあ、特殊メイクだと思います。それの出来としてはかなりのものだと思いますが、だからといって確かに小説とは関係ないですね」と答える。
女性は女の子と男の子を連れてきている。年下の男の子のほうが、女性がなにか出すと合いの手っぽくしゃべるのだが、口調が昔の見世物小屋のオヤジみたいだ。
小説の題材、ということでお金が欲しいのだろうけれど、そんなことより自分らでそれこそ見世物小屋でもやったほうが儲かるんじゃないだろうか、と思いつつ「先生には私たちからお話をします。なにかございましたらご連絡差し上げます」と言ったところ、はいはい、と納得して帰っていった。特に粘られたり交通費などを要求されることもなかった。

彼女らが居たときに、実はレントゲンで撮影をしていた。現像が出来たので見てみる。と、目玉や腹部の顔は「外から貼り付けたものではない」ことがわかった。本物か、あるいは大規模な手術で取り付けたものとしか思えない。

「だからと言って」
「小説にはなりませんね」

先生にはレントゲンとともに説明をした。少しだけ笑って首を小さく横に振った。「小説家として興味は無い、ということでよろしいですね」と言うとやはり小さく笑って首を縦に振った。
先生は滅多に喋らない。首の動作と手の動きだけで意思の疎通をする。例えばなにかを食べる動作をしたときには、その動きで「ステーキですか、ハンバーグですか」などと聞く。その中に正解があれば、先生は私に向かって指を指す。「正解!」という風に。ややこしいものが食べたいときは、原稿用紙に書いて見せてくれる。
喋れないわけではない。「私は声を出すのが面倒なので、動作か文章で伝えます」と一番最初に言われたし。

先生の部屋から出て、作業室のほうで小説の原稿の整理をする。事務所は先生が居る個室と、作業室しかない。作業室には小さいキッチンと、私の机とPC類がある他は、会議室のようなつくりになっている。私は1日のほとんどをこの場所で過ごす。1人のときもあるが、大概は編集者が居る。今日は一度出て行ったが、自分の会社に居なくて大丈夫なのかな、と心配になるほどこの人は帰らない。

いま先生が進行中の小説はあかさたな〜 の文字列が順次決まった箇所に入っている文章だと言うのだが、何度読んでもその意図が分からない。文章として不自然になってでもそれを成立させているからだ。私はそれが「成立しているか」のチェックをして先生に報告するという作業をしているが、読んでいて非常に疲れる。元々難解な文体なのだが、今回はそれとはまた違って面で疲れる。

編集者が「取材に行く時間だよ」と事務所に顔を出したので、一緒に行く。先生の原作がドラマになるのだが、その撮影現場が近くの学校なのだ。
監督に挨拶などをしていると「そうだエキストラで出てくださいよ。話題になるから」と急に言われる。まあ通行人ぐらいなら、先生の助手も出演、というひとネタにはなるだろうから引き受ける。と、よく聞くと「若いころの先生の役」だそうだが、そんなのを自分がやっていいのか? というかそれエキストラじゃないじゃん、と疑問に思うが、台詞がない場面だったので何回か撮って無事終わる。先生は若いときからもうあまり喋らなかったのかな、と思う。この監督はよく打ち合わせに来ていたので、そのへんも取材していたのかもしれない。取材といっても、メッセンジャーで返事をする先生に監督が打ち返すまたは口で尋ねる、という感じだったので内容はよくわからなかったが。

帰りましょうか、と編集者に言う。と、その敷地の中でなぜかグラビアアイドルの撮影会みたいのが始まる。これはもうけた、と撮影をするが、持っていたのはさっきのレントゲンのカメラだった。教室の中に普通のデジカメをおいてきたのを思い出して取りに行く。土足禁止だが、誰もいないだろうとそのままで取ってまたすぐ出る。
「レントゲンでグラビア撮影とは新しい。さすが先生」と編集者に冷やかされる。が、彼もがんがん撮影している。ドラマ取材用にやたらとでかいデジカメを持ってきていたのだ。

一通り撮って事務所に戻る。編集者も一緒だ。もうすぐ出版する小説の最終的なチェックを行うのだ。見本刷りが出版社から上がってきていた。

「R・G・B」というのが今回のタイトル。「レッド・グリーン・ブルー」ではなく「レッド・グリーン・ベルト」または「バンド」だという。先生がそこをまだ悩んでいて、最終的には全文検索で置き換えるとのことだ。スペルはBだったかVだったか思い出せないが、とにかくスペルによるトリックだという。執筆中ははまだ書生になっていなかったので、中身は自分はよく知らないが、10数冊に小分けして装丁されている。版形などもバラバラ。書体やらも一冊ごとに違う(手書きの複写まである) そこに今回最大のこだわりというか、それそのものにトリックのヒントがあるのだとか。

本を順番に並べる作業を中心に手伝う。コピーを取って控えを製本するのがしんどい。と、先生が重要な一冊を握ったまま寝てしまう。編集の人が懸命に手から引き剥がす。「指紋がついた。もし寝てるんじゃなくて先生が死んでるなら君の証言だけが頼りだ」と唐突なジョークを言って笑う。「証言で役に立つんですかね? っというかそれはもうコピーと製本終わってる分ですよ」というと「なんだ疑われ損だ」とまた笑う。先生は本当に寝ているだけなのか? などと妙に心配になる。と、起き上がって自分の部屋に戻ると、小さなかばんと帽子を持って出てきた。帽子を持ち上げて私のほうに小さく会釈をした。「帰ります」という意味だ。「装丁そのものには問題がないので、今日はお帰りになるとのことです」と編集者に言うと「相変わらずよくあの動きで分かるね」と少しあきれているようだ。

「前作は高感度層が働く企業内での展示と販売でブレイクしたようなもんだ」と編集者。どうも小説の内容で売れたのではないといいたいらしい。
たしかに、最近の先生の小説は「ただ難解なだけが売り」と酷評する評論家も多い。

「君も、売れる作家になりたいなら別の先生についたほうがいいかもしれないよ。装丁だの、あかさたなだの、いつかネタはつきるぜ」

「いえ僕は」
「先生についていく?」
「いや、僕は作家になりたくてこの仕事をしているんではないんですよ」
「はぁ?」

「僕は、本職は外科医なんです。勤めていた病院でちょっとごたごたがありまして。新しい病院に移る準備をしていたところ、親戚経由で少し先生のお世話をしてくれないか、という話が入ってきて。まあ次の書生が見つかったら、必ずいい病院を紹介する、と先生もおっしゃっているというので、いまはここで働いているんです」
「これは驚いた」と編集者。
「なんだ君も“先生”だったのか」と苦笑いをしている。

「次の書生、というのも来るかわからないですよ。先生はあといくつか書いたら、お辞めになるかもしれませんから」
「なーるーほーどーねー」ため息のように編集者が言う。「ま、売れるだけ売っときますか。弊社としては」と笑う。

突然、フランス人とメキシコ人の集団が入ってきた。この事務所があるビルはいわゆる催事スペースがいくつもあるので、間違って入ってきたのだろうか。

「おいおい。何の祭りだ?」と編集者。特に慌てては居ない。この人が怒ったりあせったりするところを、そういえば見たことがなかった。

と、なぜかフランス人の人からグッズを渡される。高そうな装飾の大きなブローチとイヤリングやらなにやらのセット。「センセイニ」と日本語で言っているように聞こえたので、ひとまず受け取る。身に着けるというよりディスプレイして眺めるもののようだが、組み立て方がわからない。フランス人はもう帰ってしまったし。

と、知人の女性がやってきた。(現実のその人より随分と若い) 組み立て方を教えてくれるが、ノースリーブを着て高いところに部品をつけたり、自分で見につけてみたりしているので脇のあたりがとても気になってしまう。

「先生。“手術してぇなぁ”とか思ってるんじゃないか? 案外エロいね先生。じゃ」と私の肩を掴んで小声で軽口をたたいて編集者は帰った。

「今夜飲み会が有るから、このイヤリングを貸して」と言われるが、先生に聞かないと、と返事を濁す。どうも女性誌などで非常に話題かつ人気(非売品なので)のアイテムらしい。「明日返しにくるからさぁ」などとまだ粘っているが、貸さないほうがよさそうだ。先生は何に興味を示すか読めない方なので、見せないで他人に貸すのもマズイし。

と、メキシコ人の集団が小冊子をどっさりくれたが、さっき並べていた先生の小説とまざってしまい「また並べ替えか」とうんざりする。

やがて誰も居なくなった。私も帰ろう。

Posted by yae at September 2, 2006 12:53 PM
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