※夢の中に出てきた人は、全員現実には見知らぬ人々でした。
家で寝ていると天井にもやもやとした人影のようなものが見えた。寝ぼけているのか、と思うと、続いて隣の部屋に昔のドラマや童話で見るような「嫁入り行列」的なものが入っていく。セピア色に透けている。遠くに居るようにも見えるし、とにかく見た目の大きさがおかしい。
数秒後、なにか水道局やガス会社の点検の人を思わせるような服装の中年男性が入ってきた。こちらの部屋に入ってきて「どうもどうも」と名刺を差し出す。
「日本霊能力者協会理事〜」とか書いている。料金表も見せられた。まあ、驚くような値段ではない。というか普段想像しているものよりかなり安い。
「今回は私がたまたま外で霊を見かけてお邪魔しただけなので料金発生はしません。で、いまご主人が何かを見られたなら、それを教えてください」と。ご主人、と人を呼ぶあたり、本当に何かの点検業者かなにかのようだ。
まあ只だし、と天井あたりの人影と、嫁入り行列のことを話す。と隣の部屋から同じ行列が出てきて帰っていった。「あ」とか言うと中年男性が「静かに」というような動作をした。
「これは参りましたな」と帽子を取って中年男性ががりがりと頭を掻いた。
「捕り憑かれました」と続けた。
中年男性の説明はこうだった。
「天井に居たものは“迷って”いる女性の霊。生前結婚生活に失敗し、離縁されて自殺した。この世でいずれかの女性に捕り憑き、あなたと結婚をしようとしてくるだろう。先の行列はその下見であり、入ってきたところから出て行ったということは“ここで良い”と霊が決めたということ」と。
「それは困りましたね」 そうしか言い様がない。
「まあ、除霊などなさりたいようなら私どもなり、まあ、お知り合いの霊能力者などにご相談をされては。放置しておいても気にならんと仰るならそれでも結構だとは思いますが、まあ言い寄ってきた女性を無視し続けると、祟り殺される可能性は高いです」と、なにやら無責任なことを言い残して中年男性も帰っていった。
こりゃ参った、と思いつつも、ひとつの疑問が頭に浮かんだ。鍵。玄関の鍵はしっかりかけている。窓もだ。霊だとしたらまあ、それはともかく、あの中年男性はどこから入ってきたのだろうか。
数日が経った。「お知り合いの霊能力者」など居るはずもなく、あの中年男性も鍵の件からして堅気とは思えない。つまり、なにも対策を取っていない。
あの日のこと全体が夢のような気もする。名刺や料金表はぼんやりして捨ててしまったのか見つからないし。
そのうち自然に忘れてしまうだろう、などと軽く考えることにして、ハウストーナメントに出かける。
途中、大型のビルボードを見た。何かの小説の出だしのようなものと、数枚の写真で構成されている。写真はシルエットに近いというかフォトショップなどで表示のパーセントを落としたかのように、うっすらとしか顔などは見て取れない。
が、そこに書かれている内容は、この間の霊能力者が来た日のことに酷似している。というか、ほぼ同様だ。「続きはネットで! このビルボードも更新されます!」と、URLと並んでアオリが入っている。なにか胸騒ぎというか、忘れていることがある、と思いつつも集合時間が迫っているので会場に向かう。
会場ではダーツ仲間の男性が話しかけて来た。なんだということも無い話をするが「こんなに大きい試合だったか?」ということが気になる。会場が大きすぎる。というか、ハウスのはずなのに、ホールを借りているのだ。
「今日は何に出るの?」と男性に聞かれる。「いや普通に01とクリケじゃないの?」と質問のような答えをしてしまう。と、男性の知人だと先ほどから会話に加わっていた女性(20代半ばぐらいだろうか)が「クリケ出るんですか? じゃあ私とペアですよ! わーよかったよろしくお願いしますー!」とかえらいテンションでまくしたてつつ抱きついてきた。
おかしい。何もかもに違和感がある。ハウスの試合にしては会場が大きすぎるし、試合形式もなにやらおかしい。ドローしてないのにペア? 全体におかしい。出るはずだったハウスの試合ではない気がしてきた。何者かが私の予定を書き換えたかのような違和感を感じる。
でも試合には出よう、と思っていると、なんとこの日は試合は無く、前夜祭的なイベントだと言う。そんなハウスは聞いたことがない。しかし、周りはそれに何の違和感も感じていないようで、普通に振舞い、楽しんでいる。先の女性もことある事に積極的にコミュニケーションを取ろうとしてくる。絶対にこれは普通ではない、と思いつつも、ここは慎重に、と周りに合わせてこの日は帰ることにした。
帰り道、さっきのビルボードの前を通る。書かれていたストーリは更新され、進んでいた。予測はしていたが、やはり私の先ほどの行動がほぼそのまま書かれている。女性と「出会った」という表現になっている。そして写真。他の人にはまだわからないレベルだが、ほぼ間違いなく私を写した写真だ。自分の顔や姿勢の癖などはさすがに見れば解る。
出来るだけ知人がいそうな場所を避けて自宅に戻る。さて、この状況はどこかで見たか聞いたことがある、と考えるが、もう少しのところで思い出せない。と、耳が非常に痒いというか「何かが急に耳の中に落ちた」気がして耳掻きを使ってみる。
大きな耳垢が取れた。が、ちょっと見た目がおかしい。というか、堅い。こすってみると中から非常に小型の金属製の円盤が出てきた。これは…ボタン型電池だと思われるが、こんな小型の規格があっただろうか? というより、なぜ耳の中に電池だ、と思う。
その瞬間、私はあることを思い出した。そのことと今の現象が一致するなら、これも必ず、と思いつつ額の左側の生え際を探る。手ごたえは普通。しかし、必ずあるはずだ、と何度も探ったりこすったりする。あった! と思い、慎重にそれを剥がす。こめかみにピリッとした痛みがあり、それが剥がれ始める。極薄のラテックスで作られた人工皮膚状の皮膜。一見すると髪か睫毛のような超小型の盗聴器、脳波に干渉するための探査針、そしてやはり髪の毛に偽装された耳の穴への配線。
この装置、そしてここまでの事柄の流れ。これは私が昨年ネットのオンラインゲームのシナリオとして提出したものと同じだ。内容は
・ある人物(主役)のところに事件の前触れ的な出来事が起こり、それの解決策を持っていることを匂わせる人物が登場する。
・主役が取る行動はすべて盗聴、監視されている(という設定)また、オンラインゲームに参加している人物は、その人物が次に取る行動を予測し、リアルタイム投票により集められた選択肢のいずれかに投票する。(オンラインゲームのプレイヤーはプログラムされたNPCと実際の参加者が混在している)
・主役は最初「起こったことが書かれていること」が本人の目に入るようになっているが、徐々にネットで投票された「これからの選択肢」が本人の目に入るようになる。だんだんにそれ以外の行動が取れない心理状態になっていく。
オンラインゲームの参加者はアバター的なインタフェースで主役に話しかけたりして行動を操ることも出来る。
・最終的に主役は必ず死ぬ。死の前の行動をうまく操り、保険に入らせたり、または死因の選択肢に投票していたプレイヤーには相応の賞金が入る。
こういうストーリーのものだった。
クライアントのゲーム会社の反応は「非常に面白いが、ゲームとはいえ世界観が反社会的でありすぎる」などの理由から採用を見送ったという連絡があった。
しかし、いま私に起きていることは、そのゲームの世界観そのままだ。あの会社にアンダーグラウンド的な別組織があり、一部の「イッてしまった」ゲームユーザを対象に生身の人間を使ってあのゲームのシステムをリアルワールドで実現、ということが行われているとでもいうのか? あまりにも非現実的というか、それこそゲームの中でしか起きないような話だが、ここまでの経緯からして、それが一番「妥当な推論」としか思えない。
ならば、装置を外した今、奴らはまた行動を起こしてくるはずだ。だいたいにしてこの部屋は私が住んでいた部屋ではない。装置を外すまでは「自分の部屋」と普通に感じていた。ということはかなりのレベルでの監視、また、ゲームの設定とほぼ同じ技術レベルで人間の記憶を操れる手段を奴らは手にしている。このままではマズイ。
外で車が停まる音がした。1台や2台ではない。
ダーツ界の星新一
続編を期待します。
>鷹さん
アッチのほうでも夢ネタはたまに書きますが「花電車」とかそういうわけわかんないのはこっちには書かないようにしてますw
この夢の数日前に仕事の調べ物で「マックスヘッドルーム」のことを調べていたんですが、その影響で近未来的な夢を見たのかもしれません。
>F-1さん
私のは夢の再記録であり、小説ではまったくありませんが、星新一氏は偉大な方だと思いますのでもったいないもったいない、ですw
鷹さんのコメントについても同様ですが、一回完全に起きてしまうと、続きってなかなか見られないものですね。一瞬起きて「続き続き・・・」と思えば見られることもありますが、それは「エロという側面においては続き」というレベルが精一杯だったりしますw
ではでは。どうもありがとうございました。
Posted by: yae at December 7, 2005 01:59 PM