Recent Entries
RECENT COMMENTS
RECENT TrackBack
Categories
Archives
Search


September 06, 2005

映画館と麻薬雨

家の隣が映画館になっている。幼馴染数人が交代で上映作業をしたり、諸々の販売をしている。私も彼らも中学生ぐらいの姿をしている。
彼らは私の家で食事を取ることになっている。支度が出来たので呼びに行くと今日は1人しか居なかった。

「参ったよ。今日俺一人でさ。なんか気味が悪いよ。ほら、そこの蛍光灯の下に行くと必ず暗くなるんだ。呪われてんだよ」と妙に怖がっている。いつも来ている場所なのに、と思い「そんなことあるかぁ?」と言いながら蛍光灯の下に立ってみる。確かに暗くなるが、霊的なものとはまったく思えない。どうも蛍光灯が古くなっていて、ちょっとした静電気でも影響を受けて暗くなるのかも、と思い、髪を下敷きでこすってもう一度立って見る。完全に消えた。幼馴染はさらに怖がっていたが「静電気だよ」と説明すると少し落ち着いたようだ。が、まだ「呪いかも…」とぶつくさ言っている。

食事のときは映画館で売っているジュースを彼らの分、私の分持っていっていい決まりになっている。が、今日は何も無い。ジュースだけではなく、本当に何も無い。「なんか今日おかしいんだよ」と彼が言う。食事休憩の時間には決まりがあるため、ひとまず彼を先に家に帰らせて、ジュースは近くの酒屋で私が買って帰ることにする。

少し先の酒屋に着く。と店の中が妙に箱だらけだ。「ジュースなんか無い! もう無い!」と店のオヤジが妙にキレて怒鳴っている。倒産でもしたのか、と思いつつ、さらに先へと進む。

長屋のようなところについた。ここは小さな「店と住居を兼ねた」建物が密集しているエリアだ。ここで買ってもいいし、この先は大きな市場があり、周りに店も多いからそこでもいいし、と思い、路地の隙間を抜けていく。途中、集会所のような畳敷きの広い部屋(他の建物に比べて不自然なほど広い)を通り抜けると滅茶苦茶近道になるため、声をかけて通らせてもらおうとする。顔見知りの中年男性が「おーいいぞ通りなよ」と笑っている。この人はいつもここにいる。仕事をしているのかしていないのかわからないが、商店の人たちからの人望は厚いようだ。

礼を言って通り抜けようとすると雨。まずいことになった。この雨は酸度が非常に高く、もはや「酸性雨」と呼べるレベルを遥かに越えた危険な雨だ。しかも、この雨に触れることで皮膚はただれ、最後には命にかかわることもあるのだが、雨がある程度の地熱で暖められると霧のようなガスが出る。このガスを吸うとなんとも幸せな気持ちになる、というのでそれを楽しんでいる人間や動物たちが居るのだ。正式な名前は凄く長いので、街の人は皆「麻薬雨」と呼んでいる。この季節はガスが大量に発生しやすい。危険だ。

商店の人々が集会所にどんどん集まってきた。さっきの中年男性が「ホレ。これをつけろ。雨戸を閉めるのを手伝ってくれ」と使い捨てのガスマスクのようなものを渡してきた。見ると周りの人もそれをつけてどんどん雨戸を閉めている。なるほど、ここは避難所も兼ねているのか、と思いつつ手伝う。

雨がやみ、ガスも引いた。今だ、と思うが、皆の靴がたくさん散乱していて見つからない。と、やはりさっきの中年男性が「ほら、お前の靴はこれだろう?」と持ってきてくれた。なんでもお見通し、という感じ。だから人望が厚いのだろうか、と思って礼を言うと「また降るかもしれない。もうひとつマスクを持っていけ。だが、このマスクは持って5分だ。遠くまで行くなよ」とのこと。ありがたく受け取り走り出す。

市場の外側の商店の並びに駄菓子屋があるはずだ。そこがある通路に駆け込む。と、ジュースは品切れだとのこと。少し先の店にはたくさんあるし、よく冷えているからそっちがいいよ、とおばさんに言われる。狭い通路を進む。ジュースは買えた。保冷剤まで入れてくれた。礼を言って、通路を進むか、戻るか考える。狭い通路を戻るより、一度外に出て少しだけ壁を回り込んだほうが早い、と判断して先に進む。ひどくくもの巣が張っているが手ごろな棒があったのでそれで巻き取るようにして外す。すでにくもの巣がくっついていたので「ソレ用」に置いてあるものかもしれない。

外に飛び出そう、と思った瞬間、目の前には霙のような豪雨が降っていた。まるでカーテンが波打っているかのような高密度の豪雨。ここに居てマスクをつけていても5分しか持たないなら、出るべきか、と思っているとさっきの店のおばさんが分厚い雨合羽を貸してくれた。ジュースも小さな箱に入れてくれた。「行きなさい。あちらの避難所まで行けば、大丈夫だから。あのおじさんに頼めば無事に家まで帰らせてくれるよ」とのこと。やはりあのおじさんは只者ではないのか、と思い、礼を言って飛び出す。

道端にはどこから来たのか、大きな象やカバ、セイウチのような動物が横たわっている。いや、かつてその動物だった、と言えばいいのか。ほぼ原形をとどめないほど溶けている。口の周りの骨が見えているが、笑っているように見えるし、うなり声もなにか快感にあえいでいるような響きだ。
派手な色のビニール合羽を着て踊るように小走りでくるくる回っている女が居た。メイクも奇妙だ。なにか演説のような話し方をしているが、聞き取れない。前にこの麻薬雨を天からの恵みと吹聴している新興宗教があるとニュースでやっていたが、こいつらのことだろうか。関わりたくないのでとにかく走る。

避難所に着いた。おじさんが「おー連絡を聞いたぞ。うん。こっちの新しい雨合羽に着替えるんだ。それでな、あの若いねえちゃんの後を着いていけ。薬を撒きながらお前の家までのガスを消していってくれるぞ。映画館の隣だったな。よし、行け」と。確かに若い女性がなにやら特殊部隊のような重装備で立っている。「さあ、行きましょう」とヘルメットを被った。はい、と後を着いていく。

彼女は道にビー玉より少し小ぶりの、様々な色の球体を撒いていく。シリカゲルに色をつけて巨大化したような感じだ。ガスがどんどんその球体に吸い込まれていく。「黒くなった薬には触っちゃだめよ」と叫んでいる。ガスを吸い切ると黒くなるのだろうか。

Posted by yae at September 6, 2005 01:16 PM | TrackBack
Comments
Trackback
Post a comment









Remember personal info?


引用形式にします 太字にします イタリック体にします リンクを作成します